2018年 08月 02日
何かバッキンガムってどこか既視感あるな~と考えていて、ピングドラムのかんばに似ているぞと思いついた。(似てないか)
これがアマゾンプライムで全部タダ~!
というわけで最終回を見てみたら、感動してしまった。
運命の林檎を分け合おう
もー全員、全員、みんな大好き!嫌いな人がいない。どれも甲乙つけがたい。
あの二人×二人はきっとどこかでまた出会える。希望を持てたエンディング
最初からゆっくり見直そう。
少し、長いお休みをもらった。
ちょっと疲れている気がする。
そんなお休みをもらうかもらわないかの境に、ものっすごい萌えをくれてありがとう薔薇王の葬列!
ひたすらバッキンガムとリチャードで検索かけていると、佐々木蔵之助、リチャード三世の舞台をやっていたんだな~
バッキンガムとの絡みが恋人のように演出されているらしく、深く深くうなずくのであった。
こっちはもろに男同士だな~
すごく昔のかすかな記憶で、そういえば最近の前衛的な演出のシェイクスピアの舞台では、
バッキンガムの献身っぷりがそういう(危険な恋愛関係)描写にされることもあるって書いてたのを読んだことがあるような、ないような…
その頃スルーしてた私のバカバカ!!
いやぁ、原作読んだらバッキンガムはそうなるよねー
ウンウン(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)
リチャードを王に押し込むやり方が無理すぎるから、余計にバッキンガムの努力がごほうびだけでは説明のつかないレベルに思えちゃうんだよね
すごいヨイショに継ぐヨイショしてくれて、リチャードに肩入れして読んでるこっちも、誉められすぎて照れると同時に、いい気分になったもんな
薔薇王じゃない方の、シェイクスピアのリチャードのことを、リチャード三世だけ読んで、あーこんなものか、と思ってほしくない。
ヘンリー6世では、パパの死に歯噛みをしたり、弟のことを悼んだり
兄二人をたしなめたり、励ましあったり。
それはすべてが演技なわけでも、すべてが本音でもない。
人は複雑で多面的で、シェイクスピアはそこの描きかたがうまい。
リチャードは決して、「自分のことしか考えない冷酷非道で自己中な人間」ではない。
有能だけど孤独で愛に恵まれない「ただの人間」だ。
あたたかい血もあれば感情もある。
愛への憧れも持っている。あきらめてはいるけど。
そうでなければあんなアンへの台詞は吐けない。
自分には訪れないとあきらめ、夢想だけしていた女性に愛を乞うありったけを力いっぱい込めてみたら、なびかれただけ。
アンだって、リチャードの言葉に一片の真実がなかったら、心動かされなかったはず。
ただ、残念というか必然というか、リチャードの求めるもの、満たされる対象がアン単体ではなかっただけ
権力への思い、政治の渦は、人を根底から変えてしまう。
目的が手段と入れ替り
権力の維持はもう、目的ではなくなっている。
つかの間、ハルのような強く理想的な君主が現れたとしても、結局、世襲では全てが理想的な君主にはならないし、争いのもととなる現実を、シェイクスピアはあの時代にして、物語ではっきり示している。
王があれほど尽くしたバッキンガムを疑いはじめたのは、王位を手に入れても幸せになれないからだ
彼は権力の座において、決して幸せではない。
目的に向かって邁進している間はいいが、守ることをはじめた瞬間に、追われ、狙われる立場に身を置くこととなる。
追う者が追われる者へ逆転して、自分が狙い、追ってたからわかるのだろう。
幸せではない立場に着かせた彼を恨む気持ちが芽生えたとしてもおかしくはない。
バッキンガムも不安になっている。
王の猜疑心がすべてを蝕んでいく。
これまで、王位を簒奪してきたすべての王を蝕んでいたはずの不安は、ボリングブルック(ヘンリー四世)も苦しんだ呪いだ
簒奪者につぐ簒奪者を迎えて、リチャード三世がその不安の底の底を究極的に体現する。
王は、バッキンガムも利で動いているのかと思う。
所詮、利なのかと。
でも約束した利を与えてしまえば、理由がなくなるから離れていくのではないかと疑う。
与えなければ与えないで離れてしまうこともわかる。
そうなればもう、バッキンガムは逃げるしかないし王は処刑するしかない。
処刑前に、王に一目会えれば、あれほど尽くした自分のこと、説明すればきっとわかってもらえると、バッキンガムは考えただろうに。
リチャードを責めまくる亡霊の、さいごに出てくるのはバッキンガム。
利己的であれば良心という亡霊にうなされたりしないだろう。
すべてにおいて王にもっとも近い存在だったバッキンガムを失ったとき、リチャードのバッドエンドは確定された。
しかし、リチャード三世のすごい所は、このどん底にあって追い詰められた極限にあって
その権力の魔力も、良心の亡霊も、追いかけてくる罪も、超絶・名台詞の自問自答もすべて振り払って
最後の最後に、個人としての底力を発揮して、戦う姿勢を見せたことだ。
逃げず、背中を向けず、人生にも運命にも、真っ向から立ち向かう姿を見せたとき
あれほど欲した王国を馬と引き換えると叫ぶとき
ぞっとするほど感動するんだよね
母に愛を与えられず、醜く生まれつき不遇でいて、かつ実力も知性も人並み以上にそなわった一人の男が必死に一つの光を求めること
愛にかわる何か、心を満たす何か(権力)を掴もうとしたことを、誰が責められるだろうか?
すべてをあきらめ、悪いことも良いこともせず、生まれながらの権力者たちがどれほど愚鈍でも頭を下げて仕えて身を潜め
ただ流されていくのだけが、称賛される生き方なのだろうか?
一かゼロか
大博打に身を投じる選択は、果たして不幸なのだろうか?
たとえ死んでも、後悔はないはずだ。
ただ、見ているこちらが(個人的に)ひたすら悲しい
薔薇王の葬列 ネタバレと妄想
Hなことばかり妄想して書いているので別窓
内容はほぼ、薄い本みたいなもの
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by wagta_il
| 2018-08-02 23:18
| literature
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